クリエイター訪問記ではこれまで様々な経歴を持つクリエイターさんを紹介してきましたが、今回は海上自衛隊の隊員からフォトグラファーへ転身したという異色中の異色の経歴の持ち主のところへやってきました。さてさて、一体どんなクリエイターなのでしょう?
やってきたのは徳島市徳島町にある株式会社tounomaruのスタジオ。代表の谷合さんは海上自衛隊に20年間在籍していたという異色のフォトグラファーです。海上自衛隊とフォトグラファーというのはあまり繋がりのない職業のように見えますが、どのようなきっかけで転身されたのでしょうか。
「海上自衛隊では主に調理や経理をやっていたんです。その20年のキャリアの中で2年間だけサンディエゴ基地にいたことがあって。サンディエゴはアートギャラリーがたくさんあるクリエイティブな街なんですが、そこで様々なアートや写真に触れる機会があったんです。その影響で写真を始めて、最初は風景写真を撮っていました」
その後、谷合さんは海上自衛隊を退職し、フリーランスのフォトグラファーとして独立することになります。
「最初は『広告業界へ参入しよう』と思って独立したんですよね。web制作のためにプログラミングを勉強したりもしましたが、やっぱり自分が一番得意だった写真撮影をフックにして広告事業を展開していくのがベストだと思って、写真業を主軸に活動してきました。ただ、写真はあくまできっかけで、そこから派生する広告の仕事でクライアントさんのお手伝いをしたいと思っています」
その言葉通り、谷合さんの仕事範囲は写真だけでなく、HP制作、デザイン制作、広告提案など多岐にわたります。数々実績はありますが、その中でもクラウドファンディングのサポートの仕事において特に良い成果をあげることができたのだとか。
「とある家電メーカーのクラウドファンディングをお手伝いする機会があって。その会社が独自にやっていたクラウドファンディングではほとんどお金は集まっていなかったのですが、うちでプロジェクトのページを制作させていただいた結果、一気に500万円ほどのお金を集めることができました」
一方でフォトグラファーとしての谷合さんは広告用の商品写真撮影を得意としています。経歴を見ても分かる通り、撮影技術についてはほぼ独学で習得してきたという谷合さんですが、商品撮影、いわゆる“物撮り”において既に独自の世界観を作り上げています。その一番の特徴は“プロップスタイリング”です。プロップスタイリングとは、簡単に言うと小道具を使った空間演出のこと。商品に合わせた空間演出を行うことで、その商品のブランドイメージを写真で表現しています。
「気を付けているのは、企業や商品のブランディングを崩さないようにすることです。そのために、いきなり撮影するのではなく、まずプロップスタイリングを考えた上で構図のラフを描いています。また、その商品唯一のイメージを守るために、一度撮影で使ったプロップ(小道具)は二度と使わないようにしていることも商品撮影のこだわりのひとつですね」
これまで多くの商品撮影を手掛けてきた谷合さんですが、「撮影した商品が売れないと面白くない」のだと話します。だからこそ、ただ綺麗なだけの写真を追い求めるのではなく、商品の販売戦略に絡められるような写真のイメージ作りを大切にしているのだそう。売れる商品のイメージ作り、困っている人は谷合さんに一度相談してみては?