徳島市中洲町に本社を構える株式会社オリジナルは、いわゆる広告代理店。一般的な広告代理店は“広告を販売する”ことが主な仕事ですが、株式会社オリジナルは広告にまつわるデザインや映像などを制作するクリエイティブ集団としての色を強く持っています。その象徴ともいえるのが、代表取締役の栂岡圭太郎さん。組織のトップというポジションにも関わらず、今も昔も制作現場に立ち続ける根っからのクリエイターです。そんな栂岡さんが近年特に注力しているのが、映像制作。
全国区の映像クオリティを徳島に持ち込もうとしている栂岡さんにお話を伺いました。
栂岡さんが本格的に映像制作に取り組むきっかけとなったのは、2014年のこと。
「僕が当時所属していた徳島青年会議所でお遍路をテーマにした映画を制作することになって。『佳歩』という映画ですが、その作品を作ったのがきっかけでしたね。その頃はまだまだ知識も機材もスキルも不足していましたので、協力してくれていた東京の映像クリエイターの仕事を見ていろいろ学ばせてもらいました。今では仕事でも関わらせてもらっている徳島国際映画祭にも、最初はボランティアスタッフとして参加して、映像について勉強させてもらっていたんですよ」
当時は脚本からロケハン、撮影、編集まで、映像制作の過程の多くを自身でこなしていたという栂岡さん。今ではCGを扱えるプロフェッショナルなど、映像制作のための社員が増えてきたため、栂岡さんは映像全体の企画構成を練るプロデューサーとしての役割に専念することが多くなったのだそう。
「僕らはずっとグラフィックデザインをやってきた会社ですから、そのスキルを生かした映像制作ができていると思います。例えば、キャッチコピー。紙媒体など平面のデザインではそれ以上の奥行きがないですから、コピーの強さがとても重要です。そのあたりの経験の差が、映像だけをやってきた会社との違いですね」
映画から始まった栂岡さんの映像制作ですが、既存のスキルも活かしつつ、現在は行政機関や民間企業のPR動画の制作を多く手掛けています。映像制作の過程では、外部の専門スタッフに依頼する部分もあるようですが、最も大事な作業は必ず自分自身で行うと栂岡さんは言います。
「映像制作で一番大事なのは、最初のプランニングです。そのプランニングのために必要なのは、ヒアリングを重ねて、映像によって解決すべきクライアントの問題点を洗い出してあげること。クライアントが“伝えたいこと”だけに終始する映像になってしまっては駄目で、その奥に隠れている問題点を解決する映像作品でなければ意味がありません。だから、僕の映像クリエイターとしての一番の仕事は映像の企画を練るプランニングなんですよ」
「良い企画ができれば、あとはピースを当てはめていくだけ」と栂岡さん。
出演者のキャスティングや、必要な技術者のアサインも、栂岡さんの仕事です。
最後に、映像クリエイターとしての今後の目標を伺いました。
「まずは、徳島でもこれだけのクオリティで映像制作ができるんだということを多くの人に知ってもらいたいですね。そして、企業のCMも含め、地方から発信される映像の質を東京クオリティに負けないように高めていきたいと思っています」
「映像クリエイターとしては、まだ成長過程の28歳くらいの気分」だと言う栂岡さんの、次なる作品を楽しみに待ちましょう!