2024.09.17

  • マッチング事例

おきのすインドアパーク × クリエイター 相乗効果を生んだ、マッチングのカタチ

クリエイターと企業のマッチング事例を紹介するこちらのコーナー。第5回目は、グラフィックデザイナー・白桃さと美さんと東部防災館おきのすインドアパーク(株式会社ジオグラフィックデザイン)のマッチング事例です。

おきのすインドアパークをカルチャーの発信地に

2023年9月、徳島市東沖洲にオープンした『おきのすインドアパーク』。インドアで行えるスポーツやカルチャー、イベント等のスペースとして開かれており、また災害時には支援物資の配送拠点としても機能する防災施設でもあります。

そんな『おきのすインドアパーク』の館長・前田さんは、大阪で『ジオ-グラフィック・デザイン・ラボ一級建築士事務所』を構える建築家としても活動されています。『おきのすインドアパーク』には建物の設計段階から関わっていたため、オープン前からカルチャー教室を一緒に開催してくれる講師を探していたのだそうです。

「この『おきのすインドアパーク』と似たような施設で神戸に『KIITO(キイト)』というデザイン・クリエイティブセンターがあって、そこでは、飲食業と建築業とデザイン業の人たちが協力して、子どもたちの職業体験のようなイベントをやっているんですよ。徳島でもそれに近いことをやりたいなと思っていて、それでまず徳島のクリエイターさんと繋がりたいと考えていました。そんなときに、徳島クリエイターズライブラリのHPを見つけて、そこに掲載されているクリエイターの中から白桃さんにご連絡して、デザイン教室を開催してもらえないかという相談をさせてもらいました」

夢が叶ったデザイン教室の開催

そんな経緯で、デザイン教室の講師として白羽の矢が立った白桃さん。女性や子ども向けのデザインを得意とするクリエイターとして活躍しており、『おきのすインドアパーク』の利用者との親和性が高かったことも両者のマッチングに良い影響がありました。そして、今回のオファーについて白桃さんはこう話します。

「それまでデザイン教室を開催したことはなかったのですが、実は私、美術の教員免許を持っているんですよ。小中学生の頃、美術に関する様々なことを教えてくれる美術教師や、当時通っていたデッサン教室の先生に憧れがあったこともあり、大学で中高美術教師の免許を取りました。結局教師になることはなかったのですが、いつか子どもたちやデザインに興味がある方に、デザインで自己表現するお手伝いができたらなぁと思っていたんです。だから、今回デザイン教室の依頼をいただいて講師をさせてもらったことは、私にとって夢のようでした」

実際に開催したデザイン教室のテーマは『オリジナルTシャツをつくってみよう』でした。高知県の砂浜美術館で開催されたTシャツアート展で砂浜大賞を受賞したことのある白桃さんらしいデザイン教室。型紙やシルクスクリーン印刷を使ってオリジナルTシャツを作るワークショップで、多くの子どもたちが参加していたようです。

白桃さんの“マチノワ活動”とインドアパーク

このように、デザイン教室のオファーがきっかけだった両者のマッチングですが、そこからまた違った展開がありました。実は白桃さんはデザイン事務所の他にもうひとつ法人を運営しています。それが、『特定非営利活動法人 徳島の子育てに伴走する会マチノワ』です。産前産後の子育て世代をサポートするためのNPO法人で、白桃さんは2021年からこの活動を行ってきました。

「以前までは別の場所をマチノワの拠点にしていたのですが、会員さんが増えてきて手狭になっていたため、新しい場所を探していました。そんなときに、インドアパークのデザイン教室のオファーをいただいて。その打ち合わせのとき、前田さんにマチノワのことを話すと、活動内容に共感してもらえて、インドアパーク内に拠点を作らせていただくためのプレゼンの機会をいただけることになったんです」

そのプレゼンを受けたときのことを前田さんはこう話します。

「まず、プレゼン資料がすごくきれいに見やすくデザインされていたことが私たちにとってはポイントが高かったです。インドアパークでは、そういったデザインにこだわるクリエイティブな人と一緒に仕事がしたいと思っていましたから。それと、プレゼンを聞いて、インドアパークと白桃さんのマチノワの親和性もすごく高いと感じました」

インドアパークの利用者層の多くは、マチノワの会員と被る子育て世代です。2023年9月にオープンし、利用者を増やしていかなければならなかったインドアパークと、すでに多くの子育て世代会員を抱えており活動拠点に困っていたマチノワとのマッチングは、両者にとって渡りに船でした。

そして今ではマチノワはインドアパークの3階を子育て世代を中心とした地域のコミュニティの場所にして、活動しています。

クリエイターとしてだけではなく、別の形でも相乗効果を生んだ今回のマッチング。最近では英会話スクールを兼ねた学童保育も施設内にオープンしたインドアパークは、産前産後をむかえる家庭から小学生などの子どもたちまで、多くの子育て家族たちの居場所になっています。その居場所の輪は、白桃さんと前田さんの出会いから広がっていったのです。