2021.06.28

  • クリエイター訪問記

クライアントが求める120%以上の映像を

サラリーマンからミュージシャン、そしてその後に映像クリエイターへと転身したという異色の経歴を持つ岡部さん。現在では徳島県阿南市に拠点を持ちつつも、主に東京の現場で活躍されています。今はコロナ禍の影響で徳島にはなかなか帰ってこられない状況ですが、オンラインで岡部さんにお話を伺いました。 

映像クリエイター・岡部 浩明さん 

20代の頃は徳島の楽器屋でサラリーマンとして働いていたという岡部さん。当時から映像制作には興味があったそうで、家庭用のビデオカメラで自身で組んでいたバンドのPVなどを撮影していたといいます。

「その頃は映像制作の機材ってすごく高価なものだったんですよね。詳しい人に話を聞いてみたら『本格的に映像を始めようと思ったら初期投資で1000万円くらいは必要だ』って言われて(笑)。お金の問題もありましたが、Macで10分程度の映像を書き出すのに一晩も時間がかかったりと、とにかく映像制作を仕事にするには非常にハードルが高い時代でした。それから時は流れて、今では昔に比べるとかなり安い価格で高性能な撮影機材が手に入るようになりました。それで、本格的に映像制作を始めることになったんですよ」

そうして岡部さんは2018年に『岡部映像製作所』を設立することになります。でも、この『岡部映像製作所』という屋号に少し違和感がありませんか? そう、一般的に岡部さんのようなクリエイターが使う『せいさく』という字は『制作』の方の漢字を使います。『製作』はどちらかというと形の決まったプロダクト(製品)を量産するときに使われる漢字です。そこをあえて『岡部映像製作所』とした理由を岡部さんはこう話します。 

クライアントワークのクリエイティブにエゴは不要 

「私は自分の作品を世に出すようなクリエイターではないんですよ。だからある意味、自分が作り上げるものにこだわりはなくて、それよりもクライアントが求めるものを120%以上で提供することに重きを置いています。そのクリエイティブにはクリエイター自身のエゴがあってはならないと思うんです。そのコンセプトを反映したのが『岡部映像製作所』という屋号なんですよ」

そんな『岡部映像製作所』が得意とする仕事のひとつが、イベント等の映像配信です。映像配信に特化した機材を多く揃え、LIVE中継はもちろん、あらゆるシーンに対応できるように体制を整えています。 

最近では、期間限定で映像配信用のスタジオを設けるなど、できる仕事の幅をさらに拡大中で す。そして、岡部さんは自身の映像制作の役割を『記録』だと言います。

「映像は、記録。まず、その場所その瞬間を撮影できていることが一番なんですよ。私がさせていただいた仕事の中に大杉漣さんの動画がありますが、それはもう今撮ろうと思っても撮れないですから。撮影した映像を編集でどう美しく見せるか、どうメッセージを伝えるかという要素もありますが、何よりも“記録”として撮影できていることに価値があると思っています」 

今はコロナ禍の影響で徳島での活動ができていない岡部さんですが、またいずれ徳島にとって重要なシーンを記録・配信し、多くの人に届けてくれる日がくるはずです。