2021.10.18

  • クリエイター訪問記

デザイン、ときどきサーフィン。

どこか遊びゴコロのあるイラストやデザイン表現など、唯一無二な色を持つグラフィックデザイナー・杉崎義彦さん。仕事と共に趣味のサーフィンを楽しむために、杉崎さんのデザイン事務所『スタジオアティック』は小松海岸のすぐ近くにあります。そのスタジオもやっぱり遊びゴコロのある素敵な空間でした。 

グラフィックデザイナー・杉崎義彦さん 

子どもの頃から絵を描くのが好きで得意だったという杉崎さん。漫画を描いてみたり、車の絵を描いてみたり。幼少時代から描いているイラストが自身のクリエイティブの原点だといいます。 

「昔はずっとサーフィンばっかりやっていたんですよ。好きなことで生きていきたいですが、サーフィンでご飯を食べていけるわけもなくて。サーフィンがだめなら、その他に好きで得意なものといえばイラストだったんです」 

それでその道に進むべく夜間のデザイン専門学校に入学したという杉崎さん。そのときはちょうど世間で様々なクリエイターが脚光を浴びていた時代だったといいます。 

「その当時、フリーランスのクリエイターが集うコミュニティがあって。僕もそこでフリーランスの仕事の話を聞いたりしたことがあったんですが、『フリー』という言葉の響きに惹かれたんですよ。決まった出勤時間もないし、自由だし、最高だな、と(笑)。それでフリーランスになるために、いろんなデザイン会社で見習いを始めました」 

そして、最後に勤めていた神戸のデザイン会社が廃業したのを機に、当時25歳の杉崎さんは徳島で『スタジオアティック』を設立することになります。 

たまたまの巡り合わせを大切に 

「最初はサーファー仲間から仕事が繋がっていったんですよ。現在に至るまでそうですが、自分を売り込む営業なんて一度もしたことがありません。全てたまたま偶然の巡り合わせ。でもその巡り合わせを大切にして今までやってきました」 

杉崎さんは独立当時から現在までのことをそう話します。そんな中、ひとつのターニングポイントとなった仕事があったのだとか。徳島の人気タウン情報誌の表紙デザインです。 

「これも偶然の巡り合わせですが、ひょんなことから表紙デザインを担当することになって。当時 は、アレコレ指示されることもなく、かなり自由にやらせてもらっていました。つまり毎月自分の作品が書店にズラッと並ぶんですよね。クリエイターとしてそれがとても楽しかったことを覚えいています。現在はもう僕の手を離れていますが、23年間、毎月一度も欠かさずに表紙デザインをしてきました」 

また、若い頃の自分から見たら今の自分は望み通りになっている、と杉崎さんは言います。 

「好きなことを仕事にできていて、海の近くで働いて、サーフィンをして。考えてみたら、若い頃の理想通りになっていますね(笑)」 

自由な発想が生むグラフィックデザイン 

長年徳島のクリエイティブの一線で活躍する杉崎さんですが、自身のデザインに対するモチベーションの保ち方についてこう話します。 

「もちろん仕事はクライアントワークがメインですが、クライアントワークにはクライアントの意向などによる制約があるから、それだけだとモチベーションを保つことが難しいんですよ。だから、100%自分の作品としてのデザイン制作も行っています」 

 

その杉崎さんの自主制作のひとつが、デザインTシャツです。 

「全部自分の好きにデザインしているので、何も言い訳ができないんですよね。売れなかったら全部自分のせい。でもそのぶん、売れるとすごく嬉しいですよ」 

杉崎さんのTシャツは主にネットで販売しています。 このような自由な発想で作るデザインこそ、杉崎さんの真骨頂なのかもしれません。タウン情報誌の表紙がそうだったように、企業の広告や販促物等も杉崎さんの自由な発想にお任せすると、これまでにない素敵なものができあがるかもしれませんよ。