2022.02.21

  • クリエイター訪問記

『ニノサン』を共にするチームプレイヤーとして

徳島市両国本町商店街の一角にある小さなオフィス『ninosundesign』。ここは若手の女性グラフィックデザイナー・神倉里江さんのデザイン事務所です。NPO法人のボランティアからデザイナーとしての道を歩み始めたという神倉さん。今回のクリエイター訪問記は、そんな彼女のお話です。

グラフィックデザイナー・神倉 里江さん

「私は運動が苦手で、学生時代の体育祭とか特に出番もなくて全然役に立てなかったんですよ」と、いきなりネガティブな話をし始める神倉さん。しかし、その境遇こそがグラフィックデザイナーを目指すきっかけになったのだといいます。

「ある年の体育祭で、クラスのみんなで着るTシャツのデザインをすることになったんです。そのデザインが結構好評で、体育祭の本番で活躍の場はなくても、私はこういうところで活躍できるんだ、と実感したのを覚えています」

その後、本格的にデザインを学ぶために大学へ進学した神倉さん。そしてその在学中にNPO法人アクアチッタに出会います。そこでボランティア活動をしていたわけですが、ひょんなことからアクアチッタの様々な広報物のデザインを担当することに。でも、それが大学での学び以上にグラフィックデザイナーとして成長できる経験になったのだとか。

クリエイターとしての成長期

「最初はとあるイベントのフライヤーをデザインさせてもらったのですが、当時まだ大学一年生だったこともあり、スキル不足だったんですよね。そのデザインがみんなに酷評されて。でもその悔しさをバネに、自分で勉強したり教えてもらったりしながら、デザインを続けていました。そうしているうちに自分が段々とレベルアップしているのを実感して。大学時代にそういった実務経験ができたのが私にとっては一番大きなことで、ラッキーなことだったと思います」

大学時代はそういった仕事に夢中になっていたために、就職活動を一切していなかったという神倉さん。すでに何社かクライアントも抱えていたこともあり、卒業後はそのまま個人事業のグラフィックデザイナーとして活動していくことになります。

チームの一員になれるデザイナーに

神倉さんの個人事務所『ninosun design(ニノサンデザイン)』のニノサンとは、「いち、にの、さん」という掛け声からつけたのだとか。その心は、クライアントが持つアイデアや事業を一とし、その後の二と三をデザインでサポートするということ。

「昔から何かのチームの一員になることの喜びを感じていて。その原点は学生時代の体育祭での経験でしたが、今でもその感覚は大切にしています。そのために、どんなチームの中に入っても役に立てるようスキルを磨き、クリエイターとしての引き出しを増やしてきたつもりです」

グラフィックデザイナーとして『ニノサン』を共にするということは、チームの一員になるということ。独善的なクリエイターではなくチームプレイヤーであることは、神倉さんの大きな強みであり、彼女ならではの特長なのかもしれません。