2023.03.24

  • クリエイター訪問記

輝く瞬間を的確に伝えるために

テレビやラジオなどで活躍するフリーアナウンサー・森本晴香さん。タレントとして様々な番組に出演したりイベントの司会をしたりと、引っ張りだこな人気者ですが、実は彼女は動画クリエイターとしての顔も持っています。今回のクリエイター訪問記は動画クリエイター・森本晴香さんです。

動画クリエイター・森本 晴香さん

株式会社officeSERENOというタレント事務所の代表でもある森本さん。動画に出演する側のタレント活動を行いながらも、動画クリエイターとしてのスキルも有する森本さんですが、そのバックボーンにあるのはアナウンサーとしてのキャリアだと言います。

「最初は大学時代にスカウトされて広島ローカルテレビでスポーツキャスターをやっていたんですよ。それがきっかけでアナウンサーを目指すようになりました。それで大学卒業後はテレビ局に就職して、いわゆる“局アナ”として働くことになったんです。それから徳島の四国放送などいくつかのテレビ局でお世話になったんですが、その中で愛媛の南海放送に勤めた時代があって。他のテレビ局では出演者としての仕事しかやらなかったのですが、南海放送では企画構成から撮影、編集まで映像制作の一連の業務を全部やらせてもらえたんです。出演以外のキャリアを積めたことで、映像についてのいろんなことが分かりましたし、仕事の広がりができたと思います」

その後、結婚を機に徳島に戻ってきてフリーアナウンサー及び動画クリエイターとして独立した森本さん。独立初期こそ出演側の仕事が大半でしたが、今では愛媛時代のキャリアを生かした映像制作を多く手掛けています。

キラリと輝く瞬間を引き出すこと

テレビの世界からキャリアをスタートさせたとあって、森本さんの得意とするのは“何かを伝えるための映像”です。それは誰かの想いだったり、企業の魅力だったり、商品の良さだったり。特にインタビューを通じてメッセージを伝えるスタイルは最も得意とするところです。

「インタビューでは相手がどうやったら自然体で良い言葉を話してくれるのかをよく考えて、相手がキラリと輝く瞬間を引き出すように心がけています。あとは“チャンネルを変えられないための演出”が大切だと思っています。放送業界では1分1秒単位で視聴率が出るんですよ。少しでも視聴者に『つまらない』と感じさせるとチャンネルを変えられてしまって、視聴率という結果に出ます。だからチャンネルを変えられないための演出は局アナ時代から常に考えて映像を作ってきました。視聴者を惹き付ける映像はどういうものなのか、どういう構成にすればいいのか、どういうセリフがあればいいのか。そういった考え方はテレビ以外の映像も作っている今でも大切にしています」

短い時間の中で伝えたいことを的確に伝える

例えば、YouTubeやSNSにアップする用の映像だとすれば、そこに決まった長さはないため、長時間の映像を作ることも可能です。ですが、長時間の映像が企業のPRに有効かというと、それはそうとも限りません。森本さんはテレビ業界で長く活躍されており、常に限られた放送時間の中で情報を伝えるということを行ってきました。そのため、映像における時間の使い方、つまり“尺の扱い”にとても長けているのです。

「映像の目的にもよりますが、視聴者にとりあえず少し興味を持ってもらいたいといった“きっかけ”の役割の映像であれば、そんなに長々とは見てもらえないと思うんですよ。おそらく見てもらえて2〜3分ですよね。だからそういった目的の映像の場合、短くまとめることが必要なのですが、短い尺の中で伝えたいことを的確に伝えるためにナレーションやテロップなどの文言は一言一句までこだわっています。映像の無駄は省きつつも、視聴者が情報を認識するために必要十分な間はしっかりと確保して。もちろん、尺の使い方は映像の目的によって変わってくるので、最初の打ち合わせでの目的のヒアリングも大事にしています」

アナウンサー業を通して習得した、他の動画クリエイターとは違ったスキルを強みに活躍する森本さん。何かを誰かに伝えたいとき、彼女の作る映像は大きな力になってくれるはずです。