2023.09.06

  • クリエイター訪問記

『芯』と『わくわく』を大切に

吉野川河川敷の橋の下、新進気鋭の画伯のような佇まいでiPadを手にイラストを描いているこちらのお方。今回のクリエイター訪問記は、イラストレーターの雪見ゆきさんです。グラフィックデザイナーでもある雪見さんは、得意のイラストを生かしたデザインで活躍している若手クリエイター。仕事現場(河川敷)を見るに個性的な人な予感がしますが、さてどんなクリエイターなのでしょう?

イラストレーター・雪見ゆきさん

河川敷広場にキャンプサイトのように今日の仕事場を設営し、素敵な笑顔でインタビューに答えてくれる雪見さん。もちろん正式なオフィスは別にありますが、雪見さんはよくアウトドアで仕事をするのだといいます。

「イラストやデザインが煮詰まったときには、よく外で仕事をするんですよ。海に行ったり、川に行ったり、山に行ったり。私は気分が仕事に影響するタイプなので、ポップで元気な感じのイラストを描きたいときには、自分の気持ちがわくわく元気になれる場所に行くんです。お祭りのイラストを描くときに実際にお祭りに行ったりもしましたね」

なるほど、つまりそのとき抱えている仕事によってアウトドアのオフィスは場所が変わるわけですね。なにやら、天才肌のクリエイターな予感がします…!

クリエイティブに対する思考能力を磨くこと

「クリエイターとして大事にしていることは?」と聞くと、雪見さんは大学時代の先生に言われた言葉を挙げます。

「大阪芸術大学の在学中、私は先生に『どうやってこのデザインを作ったんですか?』という技術的な質問をしていたんです。そうしたら先生は『どうやって作るのかは問題ではない、なぜそれを作ろうと思ったのかが大切だ』って。技術的なことは後からついてくるから、今はデザインに対する思考能力を磨くことが重要なんだと教えてくださいました。それまで私はデザインの見た目ばかりにとらわれていたのですが、先生のその言葉で考え方を変えることができました。今でもそれが自分のクリエイターとしての芯であり、大切にしていることです」

大学卒業後はいくつかの職場を経て、2020年にフリーランスとして独立した雪見さん。元々イラストが得意だったこともあり、イラストレーター兼グラフィックデザイナーとして活躍しています。雪見さんも「イラストとグラフィック両方できるのが自分の強み」と話す通り、それは彼女の大きな長所のひとつです。

キャラクターデザインは自分の子どもを産むような感覚

イラストレーターの雪見さんが得意とするのは、ポップで可愛いイラスト。最近では阿波晩茶を宣伝するキャラクター『茶ライオン』を描き下ろしています。

「イラストでキャラクターを作るときは、そのキャラクターで何をしたいのか、なぜそのキャラクターが必要なのか、作った後どう展開していくのか、そういうことを考えて作るようにしています。そのキャラクターがどのように活躍していくのかを想像しながら描くので、キャラクターデザインは自分にとって子どもを産むような感覚ですね」

そんな雪見さんですが、今、得意のイラストを生かして絵本作家になろうとしているのだとか。

「実は昔、保育士になりたいという夢もあったので、子どもたちに向けたクリエイティブをやりたいという想いがあって。それで今、絵本を描いています。今回のは原作者が別にいるので作画だけですが、将来は自分でストーリーも考えて、完全に自分の作品としての絵本を作りたいなと思っています。絵本ができたら保育園で読み聞かせとかもやりたいですね」

作画を担当している今回の絵本は2023年秋に発売予定だそうです。さて、一体どんな絵本になるのか。楽しみに待ちましょう!