2024.03.26

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とくしまデザイン塾「クライアントワーク」【後編】

2023年5月からスタートした、デザインの本質に触れるための座学と実践の両方を体験する「とくしまデザイン塾」。参加者は、月に1度講義に参加し、前期ではデザインのテクニックやデザイン思考について徳島県内の現役クリエイターから学びました。後期では県内の6企業にご協力いただき、「クライアントワーク」として企業の課題解決に取り組みました。クライアントワークでは、県内の現役クリエイターがメンターとして参加。クリエイターズ・ライブラリでは、その様子をレポートしてきました。今回は後半3回と、最終プレゼンの様子をお届けします。

■1月10日(水)

年明け早々に中間発表がありました。6グループのうち1グループはスムーズに進行し、中間発表の時点でほぼアウトプットが出来上がり、次の提案を模索していました。他のチームは実際に「何をするのか」は決まって動き出しているものの「これでいいのか」「もっと良い提案ができるのではないか」と悩む様子が見られました。中間発表を受けて、クライアント側からは率直なフィードバックをいただきました。まだまだ詰めていく箇所が見つかり参加者にも良い緊張感が生まれたようです。

■2月14日(水)

最終プレゼンまであと1ヶ月。座学で学んだ知識を総動員し、クライアントの課題解決のためのもっとも有効な手段を粘り強く考える最後の時間です。この日は作業が中心となり、手を動かしながら「もしかしてこうしたら良いんじゃない?」とデザインをブラッシュアップ。どのグループも会場が閉まるギリギリまで作業し、次回の発表に備えました。

■3月13日(水)

そして迎えた最終プレゼン。直前までチャットでも活発な議論がなされ、開始ギリギリまで調整していました。その甲斐あって、どのグループも見応え抜群のプレゼンを見せてくれました!それぞれのグループの提案を少しご紹介します。

最初にご紹介するのは「仲野産業株式会社/株式会社れんまる様」による「鳴門産れんこんを使った『わんこうどん』で、店の新たな看板メニューを確立したい」という課題。鳴門市にあるれんこんを使った料理を提供する「れんまるカフェ」の新メニュー「わんこうどん」の広報のためのフライヤーと動画を作りました。おわんの形に切り抜く遊び心のあるレイアウトや、「ちゅるっと踊るのどごし」など徳島らしいキャッチコピーで思わず足を運びたくなるポップで楽しいフライヤーを提案しました。

 

次は、「株式会社ネオビエント様」の「ショッピングセンター向けイベント営業ツールをSDGsの観点で再編集し、一層目につく選ばれるイベントを提案する!」という課題に対するアプローチをご紹介。「あすたむらんど」でお馴染みのネオビエント様が今後の営業強化のためのパンフレットをご提案しました。会社訪問やお子さんを交えた撮影をして、子どもたちが楽しんでいる様子を伝えるパンフレットができました。プレゼンでは、「地域格差をなくしたいというネオビエント様の理念に共感した」と、クライアントが大切にしている信念を制作に落とし込んだエピソードが話されました。

 

続いて、「彩魁企画様」の「地域食材を使った六次化を行う企業の信念や社会への向き合い方も一緒に伝えるパンのメニュー紹介パンフレットを作る!」という課題です。子どもたちにも気に入ってもらえるような可愛らしさと親しみやすさを大事にしつつ、彩魁企画様の思いをしっかり伝えるデザインに仕上がりました。こちらのグループは早い段階でパンフレットが仕上がり、デザイン塾の期間中に、さっそく彩魁企画様がパンフレットを活用くださいました。「イベントに出店して商品が売り切れても、このパンフレットを配れるので助かっています」とご好評をいただきました。

 

そして、「東光株式会社様」の「社員のモチベーションが向上する社内報『Toko News』の制作環境を整備し、編集しやすく読みやすいレイアウトにデザインする!」という課題では、社内報制作のためのレイアウトのフォーマット制作をしました。こちらのグループは期間内で社内報発行のタイミングがあったため、プロトタイプとして使用。「作業効率が大幅に上がった」とのお声をいただきました。その後は、「フォーマットをもう少し柔軟に動かせるように」など、使いやすさ向上のための調整が行われたようです。

 

次は、「株式会社ハレルヤ/市岡製菓株式会社様」の「イオンに来たら買って帰りたくなる、ハレルヤスイーツキッチンの窯出しシューをPRするディスプレイ・売り場作りを提案する!」のプレゼンです。徳島の銘菓『金長まんじゅう』のイメージが強いハレルヤ様が、他の商品をもっとPRしたいという希望を受け、売り場のポスターや空間づくりを提案。ポスターやフライヤーにとどまらない総合的なご提案となり、製造過程を見せたり、おやつを目に焼き付ける力強いビジュアルを制作しました。

 

最後は、「山畠農園様」の「なると金時発祥の地「大毛島」産のなると金時をブランディングし、パッケージデザインを提案する!」の発表です。一般的な野菜の段ボールは一色または二色でデザインされているのに対し、差別化のためのカラフルなデザインとなりました。その裏側には、なると金時が育てられている大毛島の景色や、生産者の魅力を伝えることを強く意識した背景があります。生産者に寄り添ったデザインをご提案しました。

 

各グループからの提案の終了後には、クライアントからのコメントがありました。「若い方の感性で、私たちでは考え付かないようなアイデアをいただけて学びになりました」「デザイン塾に参加したことで、“自分たちがどうありたいか”を改めて言語化する機会になりました」などのお声をいただけました。

その後はメンターからも一言ずついただきました。「普段はフリーランスで仕事をしていますが、デザイン塾の皆さんを見ていて改めてチームワークやクライアントの関係性づくりの大切さに気づきました」「最初は不安な時もあったのですが、皆さん最後の追い上げがすごかったです」など現場の声を聞かせていただけました。

今回で、2023年度の「とくしまデザイン塾」は終了です。参加者には「デザインを学ぶことで、より本質的な思考ができるようになりました」などの好評をいただきました。この経験を生かして、徳島での活躍や独立に向けてつながると幸いです。