2024.07.03

  • クリエイター訪問記

誰もがデザインを妥協しない世界を作りたい

今回のクリエイター訪問記は、徳島のクリエイター業界の中でもかなりの若手、UGDESIGNの岩佐さんです。まだ28歳(2024年6月時点)の岩佐さんは、特にweb制作を得意とするグラフィックデザイナー。若くしてフリーランスとして活躍する岩佐さんにインタビューしてきました。

グラフィックデザイナー・岩佐悠嗣さん

徳島出身の岩佐さんは、地元の高校卒業後、21歳まで建材の会社で作業員として働いていたといいます。つまり、社会人としての出だしはクリエイター業界ではなかったわけですが、その後どのようなキャリアを歩んで今に至るのでしょうか?

「3年間、徳島の建材メーカーで働いて、その後、都会に出てみたかったというのもあって、大阪の製造会社に転職しました。徳島でも大阪でも製造業だったわけですが、しばらく働いてみた結果、『製造業は自分には合っていないな』と感じていたんです。言われたことをただ淡々と作業する感じが僕には合わなかったんですよね」

そんなわけで、製造業からの転職を考えていた岩佐さんですが、そのときに大きな指針となったのは、学生時代の経験だったといいます。

自分自身のスキルで誰かに感謝される仕事がしたい

「小学校高学年のときに、友だちとゲーマーのチームを作っていたのですが、そのときに友だちに頼まれてそのチームのHPを作ったんですよ。それが初めて作ったHPで、友だちにとても喜んでもらえて。また、高校のときにビジネスコンクールに参加して、徳島のある企業のHPのサンプルを制作して提案したこともありました。そういった経験から、自分のスキルで何かを作ったときに誰かから感謝されるってすごく良いなと思っていました。それでクリエイターになりたいと思って、大阪で製造業をやりながら通信講座でプログラミングの勉強をしていたんですよ」

その後、徳島に戻り、ゴルフショップに勤めることになる岩佐さん。ゴルフショップではECサイトのwebデザイナーとして働いていたそうです。そこで4年間ほどwebデザイナーとしてのキャリアを積み、27歳でフリーランスとして独立することになります。そのときに付けた屋号が『UGDESIGN』。悠嗣(ゆうじ)という名前にもかかっていますが、「個性的で良いデザインを作れるようになりたい」という思いで、Unique(個性的な)とGood(良い)の頭文字を取っているそうです。

コストダウンできる最新のツールを取り入れること

そんな岩佐さんは自身の仕事で使うツールについての考えをこう話します。

「自分の強みのひとつは、新しいツールをどんどん取り入れていることだと思います。例えば、最近のweb制作は全てノーコードでありながら唯一無二のデザインでHPを作れる『STUDIO』というサービスを活用していますし、その制作過程で生成AIを使ったりもしています。そういった最新のツールを使う理由は“コストダウン”です。僕は『徳島の中小企業の人たちがデザインを妥協しないで済む世界を作りたい』と思っています。そのために、コストダウンできる最新のツールを取り入れて、できるだけ安価に制作ができるようにしているんです」

クリエイターはキャリアを積めば積むほど、使用するツール等にこだわりが出すぎて、逆に柔軟性を失いがちなものです。新しいツールをどんどん取り入れる姿勢は若い岩佐さんならではのものと言えるかもしれません。
その他、クライアントへ提案する案数をできる限り多くするというのも仕事のこだわりなのだそう。

「多いときはデザインを20案くらい提出することもあります。提案数が多いと、そのぶんクライアントとのコミュニケーションが生まれるんですよね。大事なのは提案数というより、そのコミュニケーションです。たくさんの提案で生まれるコミュニケーションの中に、クライアントの本音や本質が出てくるので、それをキャッチアップするようにしています。なので、思いつく限りのデザインアイデアをクライアントに見てもらうというスタイルは、これからも続けていきたいと思います」

デザインが好きで、『デザインをしていると時間を忘れる』という岩佐さん。まだまだ若手ですが、そのぶんポテンシャルは誰よりも秘めているはずです。今後の徳島のクリエイター業界を引っ張っていく活躍を期待しましょう。