2025.11.21

  • クリエイター訪問記

“共感”を大切に、その人らしさを深く美しく残すこと

今回のインタビューは、映像クリエイターの塚田百合さん。2022年に独立開業したばかりの若手女性クリエイターです。シネマティックなドキュメンタリー映像など、ポートフォリオにはセンス溢れる作例がたくさん並んでいます。

映像クリエイター・塚田百合さん

映像クリエイターの他、フォトグラファーやグラフィックデザイナーとしても活躍する塚田さんで すが、高校卒業後は高知大学農学部に進学。現在の仕事とは違った道に進んだのだといいます。 ですが、クリエイターになるきっかけはその大学時代にあったのだそうです。

「高知で『village』というクラフト作家のイベントが開催されていて、大学時代にそのイベントに 関わる機会があったんです。それがきっかけで、私も“ものづくり”に興味を持つようになって。で も、自分自身がクラフト作家になるのではなく、そういう人たちをサポートできる技術を身に付 けたい、と思うようになりました」

それが、ドキュメンタリー映像を得意とする塚田さんの原点であったわけです。実際、塚田さん のポートフォリオには作家やアーティストなどのドキュメンタリー映像が多くあります。 

会社員時代を経てフリーランスとして独立

大学時代にクリエイターを志すきっかけがあった塚田さんですが、大卒後は無印良品の店舗販売員として就職することに。物を売る仕事の楽しさを感じながらも、個人の活動として音楽イベントを開催していたそうです。

「当時開催していた音楽イベントは最低限の集客はできていましたが、自分には全くお金が残らなくて。イベントによる“場所づくり”の難しさを痛感していました。それで、自分のクリエイティブスキルを上げて、ものづくりや場所づくり、地域づくりをしている人たちのサポートができるクリエイターになろうと思い、グラフィックの制作会社に転職することにしたんです」

制作会社にはアシスタントデザイナーとして入社した塚田さん。文字通り最初はグラフィックデザインのアシスタント業務を行っていましたが、入社2年目から会社で映像制作の事業を始めることになったのだそう。

「当時、会社としては映像制作は新規事業だったので、そのスキルを持っている人が誰もいなくて。私自身も未経験でしたが、それがきっかけで映像制作を始めることになりました。デザインの方はアシスタントだったので、すべて任せてもらえる映像制作はとても楽しかったんですよ。そんな中で会社に東京オフィスができて、単身で東京に行くことになって。東京でも映像の仕事をしながら、さらに本格的に映像を学ぶために映像美学校に私費で通っていました」

元々独立志向があった塚田さんは、6年間制作会社で勤めた後の2022年に個人事務所『LiLLab. (リルラボ)』を設立し、フリーランスのクリエイターとして独立することになります。

クリエイティブの一歩目は“共感”を探すこと

そんなキャリアの中で独立したこともあり、現在は映像制作がメインのクリエイターとして活躍中の塚田さん。そんな彼女のクリエイティブのモットーは『Into the core』なのだといいます。

「被写体となる人や物の“らしさ”を深く美しく残したいと思って映像制作をしています。その中で最も大切にしているのは『共感』です。事前の打ち合わせやインタビュー撮影などを通して、その人の想いやこだわりの中から私自身が共感できる部分をいつも探しています。その共感を他の誰かに伝えるための構成を考えて編集する感じです。私自身の共感がポイントになるので、編集は“お任せ”でさせていただくことが多いですね」

そういったスタイルであるからこそ、映像の完成後は撮影の対象者に「分かってくれたのが嬉しい」と言われることが多いのだそう。塚田さんは「今後も人や文化を残す映像を撮っていきたい」と話します。

今は自宅の一室がオフィスになっている塚田さんですが、2026年には徳島市内にセカンドオフィスを兼ねたアートギャラリーを開設予定だそうです。ギャラリーには塚田さんの作品が展示されることも。オープン日は未定ですが、ぜひギャラリーで塚田さんの“共感力”による作品に触れてみてください。