『Hazurechi』という屋号で活動している橋本育実さん。名前の由来は統計学の『外れ値』なのだそうです。外れ値とは、その他のデータから大きくかけ離れてしまっているエラー値のようなもの。本来、どちらかというとネガティブな意味を持つ言葉ですが、なぜこの名前にしたのでしょう?なにやら深い意味がありそうです。

『Hazurechi』という名前をつけるきっかけは、橋本さんの大学時代。当時通っていた大学で統計学を学ぶ機会があったのだそう。
「外れ値って統計のデータからは省かれてしまうようなデータなんですよ。私はそういう光が当たらなかったものにこそ魅力があるんじゃないかと思っていて。そういった外れ値のようなものに焦点を当てていけるような仕事がしたいと思って、この屋号にしました」
プランナーである橋本さんにとって、“目の付けどころ”というのはまさに生命線。最も重要な部分です。一見ネガティブにも思える『Hazurechi』という名前は、プランナーとしてのポリシーが表現された素敵な屋号でした。そんな橋本さんのクリエイターとしての出発点は大学卒業後。まずはテレビ番組の制作会社に就職したのだそうです。
「子どもの頃からテレビが大好きだったので、そっちの方面に進みたいという気持ちがあって。4年間在籍して、テレビ番組や音楽ライブの企画制作、音楽出版権の仕事に関わっていました。その後、徳島にサテライトオフィスがある映像制作の会社に転職して、そこで初めてプランナーの仕事をすることになったんです」
そこから、人との関わり方や提案力を磨くために広告の企画営業の仕事を経験した後の2020年、橋本さんはフリーランスのクリエイターとして独立することになります。

プランナーの他、イラストレーター、グラフィックデザイナー、映像クリエイターなど、多くの肩書きを持つ橋本さんですが、最も得意とするのはプランナーとしての仕事だそうです。そのプランナーとしての仕事のこだわりを橋本さんはこう話します。
「まずは一度、クライアントとざっくばらんに話してみることにしています。そのときご依頼いただいている仕事と全然関係のない話をしてみたり。担当者のバックグラウンドを聞いてみたりとか、他の社員さんのお話を聞いたりもしますね。そうやっていろんな話を聞いた中から、その会社の伝えるべき内容を見極めていきます。その上で、それに必要なクリエイティブを提案していく、という感じです。それが映像なのか、HPなのか、それ以外のものなのか、そのときによって違いますが、クライアントが叶えたい目的に対して最善のものを提案することを大切にしています」

もしかすると、クリエイターに仕事を依頼する企業のみなさんの中には『プランナー』という役割についてピンときていない方もいるかもしれません。はっきり言ってしまえば、プランナーがいてもいなくても、グラフィックデザイナーやフォトグラファーやライター等がいればそのクリエイティブは一応成立します。では、プランナーの価値とは一体何なのでしょう?橋本さんに考えを聞いてみました。
「私にとってプランナーとは、クライアントとグラフィックデザイナー等のクリエイターとの間の潤滑油のような存在だと思っています。クリエイティブの目的や方向性を定めながら、みんなの力が自然と発揮される環境をつくることが私の役目です」
プランナー不在のクリエイティブでは、途中で目的や方向性を見失って迷走する、というのは珍しいことではありません。そうなってしまえば、成果は期待できないばかりか、逆効果になってしまうことすらありえます。つまり、プランナーはある意味、クリエイティブにおける最も重要な役割を担っているのです。

実際にはプランナーだけではなく、撮影やデザインなどの実務も兼任することが多いという橋本さんですが、彼女のクリエイティブの根幹はそのプランニング能力にあります。今は自宅の一室が彼女のオフィスになっていますが、現在徳島市北田宮で新しいオフィスを準備中とのこと。何やら、多種多様な人がふらっと気軽に立ち寄れる“インクルーシブな場所”として一般に解放する予定だそうです。その場所では駄菓子の販売も行うそうですよ。オープンは2026年1月頃ですので、楽しみに待ちましょう!