徳島市で2児の母として子育てをしながら、フリーランスのグラフィックデザイナーとしても活躍している白桃さと美さん。作品にはクールな印象のデザインもありますが、可愛らしいイラストを描いたポップなデザインも白桃さんの得意とするところです。今回は、そんな白桃さんのインタビューです。
大学卒業後、イベント会社や広告代理店など長くデザインに関わる仕事をしてきた白桃さんですが、そのルーツは幼少期にあったと言います。
「親戚に美術教師をしているおじがいたり、画家をやっているおばがいたりと、私の家は美術系の家系だったんですよ。小さい頃から常に身近にアートがあったからか、私自身も絵を描くのが好きでした」
だから、高校卒業後は宝塚造形芸術大学の産業デザイン学科へ進学し、デザイナーの道へ。大学 ではグラフィックデザインの他、広告や写真、ブランディングの勉強もしていたのだそう。
そして、白桃さんのクリエイターとしての初作品といえるのが、こちらの『宝箱』というタイトルの写真集です。大学の卒業制作で作ったもので、写真撮影からデザイン・レイアウトまで全部 一人で行ったのだとか。まだ学生だった頃の作品ですが、ビジュアルへのこだわりやセンスが確 かに感じられる一冊になっています。
農業をしているお父さんの「根っこがしっかりしていないと、木の幹や枝は大きく育たない。どんなに樹形がきれいでも根っこが弱かったら枯 れてしまう」という言葉を大切にしてきた白桃さん。
「それは、人や会社や商品も同じで、表面的な美しさよりも根っこの部分が大切だと思うんです。だから、デザインとは視覚的な美しさだけを追求するものではなく、その会社や商品の根本的な問題解決のためのものであるべきだと思っています」
つまりそれは、会社や商品の根っこの部分をクライアントと共に作り上げるということ。デザインを通じて確かな根っこを張り巡らせて、そこから大きく枝葉を伸ばすためのサポートが白桃さんの仕事です。だからデザイン提案では、クライアントが望んでいるものをそのまま表現したデザインと、他にもうひとつ、クライアントの悩みや問題点を解決できるようなデザインを考えて提出するのだとか。
そんな白桃さんの代表作のひとつと言えるのが、こちらの『やまだ水道』のデザインです。『やまだ水道』の会社ロゴにもなっているこのマークは、実は最初は砂浜美術館のTシャツアート展にエントリーするために作ったデザインだったのだとか。
「砂浜美術館のTシャツアート展に出品したデザインTシャツで、砂浜大賞を受賞することができたんですよ。そのときの審査員は私の憧れているデザイナーさんだったので、それは大きな自信にもなりました」
その後、そのデザインをベースに『やまだ水道』の販促ツールや広告などのデザインを全て手掛けてきた白桃さん。『やまだ水道』さんは、かつては十分な広報活動ができていなかったようですが、白桃さんがデザインした広告を展開することで一般家庭からの問い合わせ件数が増えたのだそうです。これこそ、根っこを張り大きく枝葉を伸ばす、白桃さんのお仕事。今日もどこかで、根っこを張り続けています。