2023.07.21

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【とくしまデザイン塾レポート】第3回「グラフィックデザイン」

2023年7月12日(水)、第3回目「とくしまデザイン塾」を開催しました。第1回、第2回では、デザイナーとしての心構えやコンセプトメイキングを学びました。第3回目ではいよいよ「グラフィックデザイン」をテーマに、デザイナーが現場で実際に使っているテクニックをご紹介。打ち合わせからリサーチ、そして色使いやフォントの選び方まで、デザイン事務所で5年ほど働いて身につくような貴重な知識を、二人の現役デザイナーに伝授いただきました。

今回の講師は、株式会社とぶとり堂の代表取締役である佐藤あすかさんと、Clover Studio代表の坪井秀樹さんです。もともと編集者として働いていた佐藤さんは、会社のWEB立ち上げ事業をきっかけにデザインのおもしろさに魅了されてデザイナーの道へ。坪井さんは外食産業企業に就職後、徳島県内のデザイン事務所を経て独立。異色の経歴を持つお二人は、デザインにどう向き合っているのでしょうか。

デザインの手法について話す前に、まずは佐藤さんから「ブランディングの木」についてお話いただきました。ブランディングの木とは、佐藤さんが企業に向けてブランディングを解説するときに用いる図で、愛される会社の要素を木に例えて可視化したものです。

最も大事なのは「根っこ」の経営理念や創業の精神など「会社の本質」の部分であると佐藤さんは話します。木が大きくなるためには深く根を張る必要があるように、ブランディングにおいても根っこをしっかりと言語化して理解することが欠かせないのだそう。

そして、根っこから育った「幹」がCI(コーポレートアイデンティティ)で、コンセプトを踏まえて作られたロゴマークなどに当たります。ブランドストーリーを明確に伝えるために一貫した世界観が求められる大切な部分です。

そして、「葉っぱ」はお客さんとのタッチポイント、つまり名刺やコーポレートサイト、チラシのことです。デザイナーとして関わることが多いのはこの部分。ここで佐藤さんは「デザイン制作でどう作っていいのか迷う時ってありますよね。それは、根っこを共有できていないことが原因です。そんな時はぜひこの図を思い出してみてください」とお話ししてくださいました。

次にマイクを握ったのは坪井さん。ご自身がデザインされたお店のロゴマークと、書籍についてご紹介くださいました。ロゴデザインの解説では、打ち合わせから納品までのプロセスを一通り話してくださいました。なかでも目を引いたのは、坪井さんのリサーチ力。リサーチを重ねれば重ねるほど、新たな問いが生まれ、その問いを解決するためにまた調べます。このプロセスを繰り返すうちにモチーフやアイデアが浮かび、少しずつ形になっていく様子を感じ取ることができました。

書籍のデザインの事例では余白の取り方やフォントの選び方、文字詰めの方法をインデザインの編集画面を見せながら解説してくださいました。

続いて、佐藤さんの事例紹介に移りました。佐藤さんのお話では、対話を重ねて根っこを大切にしながらデザインをしている姿勢を学ぶことができました。解説の中では、ロゴやキービジュアルにどのようなストーリーや意図が込められているのかも詳しく教えてくださいました。

その後、通年講師の小林幸さんも交え、知っておくべきデザインの知識や制作環境について深掘りしていきました。いつも使うフォントや配色のコツ、ネットプリントや印刷所などを選ぶポイントなどをお話しくださいました。

フォントの話題では坪井さんが「どんなフォントを選べばいいのかは、よく聞かれます。アプローチの一つとして、フォントを“人の声に例える”ことがおすすめです。ゴシック体の太い文字は、力強い男性の声、細くなると優しい声、明朝体なら落ち着いた声に例えてみます。さらに、文字間が広ければゆっくり話しているイメージを連想して、狭い場合は早口なイメージを持ちます」と教えてくださいました。

また、佐藤さんからは「フォントのライセンスは見落としがちなポイントです。商用利用できるかなどの規約はしっかり確認してみてください」と注意するポイントをフォローしてくださいました。また、佐藤さんは色についてのお話のときには「カラーユニバーサールデザインはぜひ覚えておいてください。色の認知には個人差があり、人によっては見えない配色もあります」と、どんな色覚を持った人にも伝わるデザインができるようにアドバイスしてくださいました。

最後は「魂のおはなし」として、息抜きや仲間作りの方法など、デザイナーとして長く走り続けるために知っておくべきことについてお話いただきました。

デザイナーとして大事にしていることについてのトピックでは、「きちんと話を聞くことですね。チラシ制作の依頼があったときに、本当にチラシが必要なのか、紙よりランディングページを作ったほうがいいのではないかなどを念頭に置きながら話を聞きます」と坪井さん。

佐藤さんは、「クライアントの根っこの部分に共感することですね。徳島で、根っこをしっかり伸ばした企業さんが育って、素敵な森を育てていきたいという思いで仕事をしています」と信念を語ってくださいました。

質問タイムでは、「二人は社会人になってからデザイナーを志しましたが、どのようなプロセスを経てデザイナーになったのでしょうか」「経営理念は短い方が適切ですか」「納期が短い時はどのように対処していますか」「フリー素材は使いますか」「駆け出しフリーランスが気をつけるべきことを教えてください」など、参加者たちの現場で生まれた疑問をお二人に解決いただきました。

 

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