2020.04.01

  • クリエイター訪問記

私のデザインの役目は、商品を売り出す“自信”を作り出すこと

徳島県徳島市は国府町の古民家をプチリノベし、デザインスタジオとしているグラフィックデザイナーのナカバリヨウコさん。現在は個人事業主としてデザイン業を行っているナカバリさんですが、かつては制作会社に務める組織内のデザイナーだったり、海外生活を送っていたり、パン屋さんで働いたりと、豊富な経験をもとに仕事をされています。そんなナカバリさん、今はどんなスタイルで仕事をしているのでしょう?

古民家スタジオのグラフィックデザイナー・ナカバリヨウコさん

訪問したのは古民家を少し改装したナカバリさんの自宅兼事務所。
場所は徳島市内ですが、広い庭があってとても眺めの良いところです。
仕事の合間に、デスクから庭を眺めて一息ついているんだとか。

ところで、一口にグラフィックデザイナーとは言っても様々な仕事があると思いますが、ナカバリさんはどのようなデザインをされているのでしょうか?

「制作会社に勤めていたときはパンフレットや新聞・雑誌広告など平面デザインの仕事が多かったのですが、独立してからは農家さんなど食品関係の方々からのご依頼で商品のパッケージをデザインさせていただくことが多くなりました。例えば、いちご農家さんが作ったいちごジャムのパッケージや、さつまいも農家さんが作ったお菓子のパッケージなどです」
そういったデザインの仕事は、知人からの紹介や食のイベントでの出会いから広がっていったのだそう。

自信を持って販売してもらうためのパッケージデザイン

現在仕事のメインになっているパッケージデザインについて、ナカバリさんはこう話します。
「商品自体はすごく美味しいのに、そのパッケージが商品の魅力に追いついていないことに不安 を持たれている方ってたくさんいて。そんな方々を見て、パッケージに不安があると商品は良くても自信を持って販売できないということに私自信も気付きました。だから私のパッケージデザイ ンは、その商品を自信たっぷりに販売してもらうためのものなんです」

パッケージデザインをする際、そのテイストを決める要素は様々ありますが、その中のひとつは 『販売する場所や人』だと言います。

「その商品をどこで誰に売りたいのかによってデザインは変わります。例えば、中国などアジア 圏のデパートで販売したいという意向があった商品のパッケージでは、和柄をあしらったデザイ ンにしたり、裏面に記載するレシピ例は日本語が読めなくても伝わるように実際に調理・盛り付 けして撮影した写真を多く入れました」

ナカバリさんの本業はグラフィックデザインですが、パッケージデザインではその商品を売り出す ビジュアルをトータルプロデュースするために、写真撮影やコピーライティングも自分自身で行うことが多いのだとか。 また、個人事業となった今の仕事スタイルについて、
「個人で仕事を始めてから、お客さんと深い付き合いができるようになりました。一緒に飲みに 行ったり、旅行したりとか。そうやって、お客さんのことをよく知った上でデザインができるの が今の仕事スタイルの良いところですね」 とナカバリさん。

そんなナカバリさん、ときには庭にある畑での農作業で気分転換もしながら、最高の環境で自身のクリエイティブを発揮中。

「私のデザインは誰かに自信を持ってもらうためのもの」

そう話すナカバリさんの顔もやっぱり自信に満ちています。